武術の伝承とは、教わっているか、否か、だけ。

天神明進流柔術

長年、天神明進流柔術に取り組んでいますが、今までは基礎が間違っていた為、手法や角度、位置など、

どこをどう改善しても、何をやってもうまくいきませんでした。

稽古する度にやり方が変わり、新しい方法論が生まれ、そしてしばらくするとまた出来なくなる・・・、

これの繰り返しです。これでは全く使い物になりません。

こんなことがもう20年も続いていました。

 

取り組み続けて20年・・・

例えて言うならば、基礎工事が全くいい加減な家を建てていたようなものです。

土台となる基礎が、いい加減な施工をしているか、もしくは間違ったやり方で施工した為、上に建つ建物は、何を乗せても駄目です。

大きな地震が来なくても、震度3ぐらいの地震でグラグラ揺れ始め倒壊してしまうような、そんな家を建てていました。

「なんで倒れるんだろう?おかしいな・・」と思い、建物を何度も建て替え、そのたびに地震に強い建て方をしたり、耐震補強をしたり、そんなことをしていましたが、それでもやはり震度3くらいで直ぐにグラグラゆれ始め、その度に家が倒壊していました。

言わば、そんな稽古の仕方をしていたのです。

それだけ基礎は大事なわけですが、今回ここで述べている基礎というのは、以前も書きました通り「重心の移動」と「足腰の使い方」です。

簡単に言うと、重心移動とは、歩くのと一緒で、右左右左と交互に体重をのせていきます(虚実分淸)。

そして、その歩みに合わせた上半身の動き(上下相随) を追求していけば、歩法に合った自然な動作が現れてきます。

つまり、上半身や腕の力は、ただ放鬆するだけで良いのです。

基本動作が歩くことですから、歩くのに合わせた上半身の動きが大事だと言う事です。

例えば右足と同時に右手が前に出るという歩き方は 明らかに歩きづらいですし、おかしいわけです。

下半身の動作が正しくても、上半身がそれに伴って上手く動いていないのであれば、やはり上手く行きませんし、下半身の動作が間違っていれば、上半身の動作はなにを乗せても上手く行くことはありません。

つまりそういうことです。

武術の場合、そういったことを考えず、おかしな動きをしていることが多かったりします。

もちろん、歩き方にも、最も効率の良い正しい歩き方というのが存在しますから、それはそれで学ばなければなりません。

大抵の場合、それは型の中にありますので、自分で考え、取り入れていくのでしょう。

   

武術の伝承とは・・・

さて、どんな武術修行者も、技が掛かる大事なポイントなどは、本来なら自分で気付き、技に取り入れ、自らの力で腕が上がっていくのだと思っていました。

昔の稽古とはたぶんそういったもので、出来る人はこれによって実力がグンと上がり、分からない人はここで差をつけられ、伝承者候補から外れていく、そんな感じだったのではないでしょうか。

これが武術の伝承だと、私は今まで思っていました。

こういったやり方は全て、習う側の才能に拠ったことです。

ところが、どうやらそれは大きな間違いでした。

太極拳の師匠、当会の最高指導者である山﨑寛先生から、真実を教わり、そのとき私ははっきりと理解しました。

武術の伝承とは、正しい稽古方法と正しい理論を、師匠から教わっているか、否か、

ただそれだけだったのです。

例えば、昔の大相撲で言えば、大関と横綱の差は、一つのやり方を教わったか、教わっていないか、だけです。

打撃の方法で言えば、あるやり方を教わっているか、教わっていないか、だけです。

もちろん、それを知ったところで、実際に使えるようになるまで稽古しなければ、全く意味がありません。

ですが、それを知らないで稽古したところで、それに気付くまではたして何年掛かるのか、また、時間が経てばそれに気付けるのか、それはわかりません。

武術を伝承される、ということは、理論に裏打ちされた決定的な方法論があり、それを教えてもらったか、否か、というところに尽きる、という事です。

私たち相武会で気付いた今回の一連の基礎、ですが、これを知ったところで使えるようにはなりません。

そこに至るまでに身につけたさまざまな動作が、この基礎一つによってまとまり、全ての技が使えるように変化するからです。

ですが、さすがに私のように20年も掛からないと思います。

稽古生の中には、やり方を聞いたそのときから、いきなり出来る人も出てきました。

つまり、本物とはそういうものなのです。

そこに至るまでの過程はもちろんありますので、素人が聞いていきなり出来るという代物ではありません。

少なくとも、天神明進流柔術という武術は、当初私が思っていたものとは全く違い、はるかに動きやすく、力感が無く、打撃技と柔術技の集大成のようなものであった、という事です。

これは、山﨑寛先生から習った陳氏太極拳と、ほとんど同じ身体操作ですし、同じ理論になります。

ということは、ワールドウイングで指導している初動負荷と同じ理論、ということです。

たぶんですが、他の理論を用いて天神明進流柔術(だけでなく、他の武術も)の武技を行っても、いつか行き詰ったり、上手く行かなかったりするでしょう。

人間の体の動かし方ですから、根本原理はどれも同じと私は考えています。

このたび、型が出来るようになった理由も、ただあることを理解できていなかった為、実現していなかった、という簡単なものでした。

簡単ではありますが、今まで何度も稽古し、それらがようやくまとまってきたところで、天神明進流柔術の稽古に再び応用したとき、いきなり、突然、上手く行くようになったのです。

   

武術理論を探して・・・、太極拳へ

私は、天神明進流柔術の技が上手く出来なかった為、武術理論を探していました。

そして太極拳に行き当たりました。

今の師匠、山﨑寛先生と出会ったことで、今までとは全く違う武術本来の姿を教えていただきました。

そして、科学的な理論に裏打ちされた、もっとも効果的な方法論を教えていただき、それを天神明進流柔術に取り入れることで、約5年弱掛かりましたが、技の解明にある程度の見通しがつくようになりました。

そのポイントは、私が師匠から太極拳を習い始め、その日から当会派のメンバーと研究し、さらにその理論を天神明進流柔術に落とし込むことで、ようやく出来上がったものです。

それでも期間は5年弱です。

今はもう分かっていますから、これを教えることは、今までのように難しくはありません。

残りの作業は、全ての型で検証するだけです。

今はまだ、居捕と立会の最初の5手、といくつかです。

ですがこれも時間の問題でしょう。

今後は、太極拳との弊習を続け、型を精査していくだけです。

今まで一番難解だった型については、解決しました。

私の、本当の武術家としての一歩が、ようやく始まりそうです。

相武会の皆さん、あと少しです。

一緒に頑張りましょう。

 

 

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