陳氏太極拳は、兵法(へいほう)。

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まず兵法というのは、孫子の兵法などで知られているように、戦闘に関する学問のことです。

以下に分かりやすい説明がありましたので、引用します。

軍学,兵学のこと。〈用兵の法〉の略語で,兵はもと武器の意から転じて軍隊の意。戦争技術としての戦術論,戦略論を含む戦争論である。 [中国] 中国の兵法は,戦争を国家の存亡にかかわる大事ととらえ,政治経済とも不可分の関係で説かれるほか,将帥の人格的役割を重んじ,人心の和合を具体的・技術的方法とともに用兵上の眼目とするところに,特色がある。したがって,その兵法は具体的な戦術論も重要ではあるが,それを裏打ちする思想性があり,戦争一般から人生問題にも通ずる広がりをもっている。

コトバンク 兵法(へいほう)とは

また「ひょうほう」という場合、主に剣術や柔術など、個別に武術のことを指すようです。

私が習った柔術も、正式には「天神明進流兵法(柔術)」といいます。

以前は、柔術だけでなく、剣術、棒術、鎌ノ術とありましたが、柔術以外、今は失伝しています。ですが、師匠の小野寺先生は、天神明進流柔術、では無く、天神明進流兵法(柔術)という言い方を通していました。単なる柔術という戦技では無く、兵法(へいほう)だという認識だったからです。

また、宮本武蔵で有名な二天一流も「兵法二天一流」というようです。やはりこれも、剣術にこだわっておらず、兵法としての教えを重視している表れだと思います。

戦闘を、戦略や戦術、戦技と捉え、総合的に考えるとするなら、少林寺拳法の「拳の三要」にある「技・術・略」といった考え方も、兵法といえるでしょう。

つまり本来武術とは、戦略や戦術無しで、ただ単に戦う技術のみを学び、身につける、といったものではない、ということなのです。

陳氏太極拳も同様で、単なる技術面だけではなく、兵法として捉えなければなりません。

中国武術のほぼ全てがそうですが、各流派の根底には必ず「孫子の兵法」の考え方が含まれています。

また、中国武術優良門派の場合、必ず術数学(陰陽五行、易、六壬、遁甲などの自然科学、数理哲学が合わさって中国独自に発達したもの)に基づく理論で構築されています(師匠から教わっていますが、専門用語がたくさんで、私はほとんど理解出来ていませんが・・・)。

つまり、どのように戦っていけばよいか、戦略、戦術、戦技全てを考えるとき、デジタルに解析・実証していくことが出来るようになっています。中国武術の各優良門派は、これらを全て含むからこそ、まさに「兵法」といえるのです。

ですから、陳氏太極拳をそのまま戦技だけだと考え、套路から技術を抽出して、敵に対する対処法として技を覚えたところで、それだけでは太極拳の技を半分も使えるようにならないでしょう。

もちろん、練習過程として戦技訓練は必須です。ですがそれだけで留まっていては、木を見て森を見ず、という結果になってしまいます。太極拳には太極拳の戦い方があり、それを知った上で戦術・戦技を構築していかないと、それは太極拳ではない、ということになってしまいますし、実戦の場ではほとんど使えないでしょう。

少なくとも、そういった知識を持った師匠から正しく教わり、さらに「孫子の兵法」にある内容くらいは読んでおかないと、陳氏太極拳をやっていたとしても、単なる体操か踊りにしかなりません。

宮本武蔵も「五輪書」を残していますが、これも兵法書です。こちらは原文の文章でもある程度意味が分かりますので、たいへんお勧めです。

「孫子の兵法」も、原文だけなら、とても簡潔に書いてあります。現代まで伝わる孫子の兵法ですが、あの三国志で知られる魏の曹操が注釈をつけたものが定本になっているということです。

魏の曹操の「魏武注孫子」は簡潔で非常に優れた注釈として知られており、上記のとおり現在知られている孫子は曹操の整理したものを底本とする。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 孫子 (書物) 名声の確立より

私が22~23才くらいのときに買った本です。↓↓

これはかなり注釈も多く、どちらかというとそこまで書かなくても良いかな・・?なんていう話が満載ですので、全て読むとかなりの分量です。

おすすめは以下のサイトです。とても読みやすく初心者~上級者まで誰にでもお勧めできます。

孫子:原文・書き下し文・注釈 - Web漢文大系
このページは『孫子』の目次と凡例を掲載しています。

 

さて、陳氏太極拳で戦うということは、戦略においてどうなのか?戦術はどうするのか?戦技はなにを使うのか?と考えていくと、はっきり言って難しいです。

当会では、師匠から教わった戦術、戦技の構築方法、考え方を教えています。

陳氏太極拳はどのようにして戦えばよいのか、その方法論を実技を交えながら教えています(上級者用)。

これらを考えるときも、「孫子の兵法」を頭に入れておかないと、型にはまったガチガチの、言ってみれば、相手にとって予測可能な技になってしまいますので、注意が必要です。

孫子の兵法から引用すると、例えば、

  • 兵は詭道なり
  • 兵は拙速を尊ぶ
  • 兵に常勢無し
  • 風林火山
  • 始めは処女の如く、後は脱兎の如し

特に「兵者詭道也」で、「故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之。」のところが重要だと思っています。

ここが分かっていないと、相手と真っ向からぶつかり、力勝負になってしまいます。太極拳らしさが全く無くなってしまいます。

そして最終的に目指すところは、

  • 不戰而屈人之兵、善之善者也 (戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり)

最終的には、戦わないことが一番ですから、こういったところまで技も精神も持って行きたいと思っています。戦わずに、いつも平和で楽しく、穏やかに過ごせることが一番良いと思います。

 

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