兵法を実践する。

記事

前回の記事で、陳氏太極拳は「兵法」だと書きました。

陳氏太極拳に限らず、優良門派の武術であれば兵法に即していますし、日本の古流武術も、剣術、柔術といった技法だけでなく、兵法に基づいて技なり、戦い方なりが考えられ、構成されているはずです。

逆に言えば、兵法を含まない武術はおすすめできませんし、兵法を謳っていても、戦略・戦術・戦技が理論として成り立っていないなら、習う必要はないでしょう。

さてそれでは、陳氏太極拳で戦うには、どのようにすればよいのか。

その一例をちょっと書いてみます。

例えば、孫子の兵法の「兵者詭道也(兵は詭道なり)」を例にとります。ここから後の文章も、とにかく敵を欺く、ということを書いています。つまり、正々堂々と戦う、なんてことは一切ないのです。敵を欺いてナンボ?ということを説いているわけです。

実は陳氏太極拳の套路の中には、こういった感じの多少トリッキーな技法が隠されています。欺くということを既に套路の中に隠しています。根本的に「相手とぶつからない」という考え方なので、正々堂々と戦っているように見えても実はそうではない、といった感じです。

また、「故兵聞拙速(故に兵は拙速を聞くも:『兵は拙速を尊ぶ』とも言います)」という言葉もありますが、これはとにかく戦いは早く終わらせることを言います。戦術が多少悪くても素早く終わらせることが大事で、「未睹巧之久也(未だ巧の久しきをみざるなり)」巧みな戦術をもちいて戦いが長引いたということは聞いたことが無い、と続きます。試合ではルールもありますし、エンターテインメントとしての面もありますので、一概に素早く終わらせることが良いことにはなりませんが、実戦に置いては、相手と接触したら数発で終わらせることを考えます。そして、そのためには、どのように相手に入り、どんな攻撃をし、どのように離脱するか、を一連の流れとして組み立て、それを実行します。

以上、極簡単に、かなりアバウトに例を挙げてみました。詳しく知りたい方は、ぜひ入会して下さい。

さて、話は変わりますが、格闘技界で今一番旬な人は、朝倉未来選手です。この人は他の格闘家と質が違います。

「RIZIN.20」朝倉未来vsジョン・マカパ 2019年12月31日

現在RIZINに出場されていますが、試合動画を見ると、彼の顔からは殺気がほとんど出ていません。とても落ち着いた表情をしています。他の選手は「殺ってやるぜ!!」と言わんばかりにやる気満々だったり、もしくは既に負けそうなので表情が弱かったり、そうでなくても大体は目力が強く、いかつい顔をしています。朝倉選手が過去にアウトサイダーで試合をやっていた頃はそんな感じでしたが、アウトサイダーでは敵がいなくなり、プロのリングで活躍するようになってから、感情をほとんど表情に出さず、淡々と試合を進めているように見えます。

彼は、相手の戦力分析が得意で、戦術・戦技をしっかりと組み立てているかなり優れた格闘家であるようです。分析の上、結果を残しているということでしたら、彼の中で間違いなく(自分なりの)理論が蓄積されていきます。戦術・戦技を考えて行くということは、もちろん「兵法」ということです。

朝倉選手が、こういったことを誰から学んだのか、それとも自分で思いつき、そうし続けてきたのか分かりませんが、こういった人物が最も強くなると私は思っています。

今現在の格闘界では、彼が最強だと私は個人的に思っています。兵法を格闘技界で実際に実践し成果を上げている唯一の人物と高く評価します。

以上、兵法は大事だというお話でした。

タイトルとURLをコピーしました