【一見、地味?】拳だけじゃない、鋭貫道に伝わる「肩寸勁」の威力と実戦での使い方

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最近、鋭貫道(えいかんどう)の紹介動画制作に力を入れています。

しかし、どんな技が視聴者の方に伝わりやすいか、どの技が反響を呼ぶのかを考えると頭を悩ませます。というのも、鋭貫道の技は見た目は地味なものが多く、撮影してみると「なんだかよく分からない」「大したことない」動画になってしまいがちなのです。

今回ご紹介する「肩での寸勁」も、もしかするとその一つかもしれません。

ですが、この技は一見の地味さからは想像できないほどの強力な効果を持っています。それでは、まず動画をご覧ください。

動画では、以下の動作が行われています。

  1. 相手からの上段攻撃を、「しゃがむ」という最小限の動作で躱す。
  2. しゃがんだそのままの姿勢を活かし、相手の内腿に打撃を打ち込む。

この時、打撃を入れているのが「肩」です。

これは紛れもなく「寸勁(すんけい)」です。肩という小さな接地面で打ち込むため、小さな動きですが、急所に命中させれば動画のように相手に明確なダメージを与えることができます。

一般的に寸勁というと「拳」をイメージされるでしょう。しかし鋭貫道では、寸勁を以下の部位で使い分けます。

部位間合い(距離)
一番遠い間合い
中間距離
相手と密着するほどの近距離

これは、距離や体勢によって最も威力を発揮しやすい部位を選ぶ為でもあります。相手と組み付くほど近接した状態では、この「肩寸勁」が極めて有効な選択肢となります。

打ち方の基本は、拳での寸勁と共通しています。後ろから前へ、肩の回転を利用して鋭く突き出すように打ち込みます。

この肩寸勁を習得するための稽古は、まずは立ち上がったままで、相手の肩などを借りて打つ練習から始めます。

しかし、動画のように「しゃがんで打つ」のは非常に難しい技術です。

なぜなら、

  1. 相手の打撃を正確にしゃがんで躱すこと。
  2. しゃがむ動作と同時に、肩が相手の内腿に寸分違わず当たるように入らなければならないこと。

この二つの要素を同時に、しかも一瞬で行う必要があるからです。

動画で見ればわずか3秒の出来事ですが、これがいつでも正確に再現できるレベルに到達するには、かなりの反復稽古が必要となります。

多くの人が派手な大技に目を奪われますが、実戦ではこのように地味で、相手の意識の外から飛んでくる技こそが勝敗を分けます。

今回は「肩寸勁」をご紹介しました。あなたの稽古に、この「地味だが使える秘術(←大袈裟)」を取り入れてみませんか?

それにしても、師範代が痛そうなので、もっとうまく加減を出来るようにならないとなあ…、と思った次第であります。

動画としては、取れ高があった、と思うべきなのでしょうか…。