今回も鋭貫道らしくない、一見すると風変わりな身体操作の活用法をご紹介します。
まずは動画をご覧ください。
腕を掴まれた際の返し技として使用しているのは、なんと「猿の突き」の動きです。
以前の記事(2025年12月28日の投稿)でも少し触れましたが、あちらの技も実は「猿の突き」を応用したものでした。ただ、前回の動画では少し分かりにくかったかもしれません。
今回の動画では、動作の要領をほぼそのまま再現していますので、「猿の突き」であることがより明確に伝わるのではないでしょうか。
この動作を正しく行うと、動画のようにまるで合気道の技のような崩しが可能になります。
もし、肩から動いたり、肘を上げようとしたり、あるいは腕力で持ち上げようとすれば、相手に抑え込まれて腕は動きません。しかし、正しい要領と軌道で動けば、相手は抵抗できず不思議と崩れてしまうのです。
動画内では2回技を行っていますが、それぞれ少しだけ条件を変えています。
- 1回目: 単純に「猿の突き」の動作を行ったもの
- 2回目: 下腹、いわゆる「丹田」をしっかりと作った状態で行ったもの
その違いは、「相手の手が離れるか、離れないか」に現れています。
1回目は腕に多少の力みが生じ、相手の重心を捉えきれなかったため、相手の手が離れてしまいました。
対して2回目は、腕に力感がなく、相手の重心を上手くコントロールできています。その結果、相手は私の腕を掴んだまま離すことができず、あのような崩しの状態まで持ち込むことができました。
動画ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、1回目よりも2回目の方が、しっかりと「肚(はら)」から動けているのが分かります。
しかし、この「肚(下丹田)を使う」という技術は、一朝一夕に身に付くものではありません。中途半端な取り組みでは決して届かない、最も地味で根気のいる稽古と言えるでしょう。
さらに、練り上げた「肚」を実際の技へと繋げていく必要があります。 道のりは、決して短くありません。
……まあ、武術とはそういうものですね。
ちなみにこの動画ですが、いつも通り「適当にやってみたらこうなった」という、いわば即興のようなものです。
「腕を掴まれたらどう動くか?」という、よくある状況を設定して、鋭貫道ならどう対応するかをその場で試してみました。ですので、定番の型稽古ではなく、この時初めて繰り出した技です。
動画撮影用に「何か映えるもの、護身術っぽいものを」と考えた結果、とりあえず腕を掴んでもらうところからスタートした……というのが舞台裏です。
1回目に失敗(あるいは納得のいかない動きに)なりがちなのは、稽古していない技をいきなりぶっつけ本番でやっているからですが、実戦を想定すれば甘いことは言っていられません。
そんな「ぶっつけ本番」のなかで、1回目と2回目の体の使い方(肚=下丹田)がどう変わったのか、ぜひ注目してみてください。

