鋭貫道では型は2つしかありません。以前も書きましたが「馬型拳」「一型」です。無影拳の型で、他にも龍、虎、猿、燕等、たくさんありますが、私は師匠から2つしか習っていません。何故ならそれ以外必要無いからです。
鋭貫道の哲学では「型や定位置を存在させない、それに囚われて個々の能力を圧し殺してはいけない」という基本的な考えがあります。
また「個人の得手不得手、使い分けや組み合わせ、コンビネーション、これらすべてを自作すること」に意義があると師匠は云われました。
所詮型は誰かが作ったもの。他人の型であって自分のものではない。人が作るものだから自分に出来ないはずがない。とまあそんな風に仰っていたと記憶しています。
私は他の武術もいくつか習いましたので型はたくさん知っていますが、確かに何一つ自分のものに出来ていませんでした。稽古でも相手に掛からず、何年やっても身に付かず、こんな事で技なんて身に付くのだろうか？果たして実戦で使えるのだろうか？？といつも大きな疑問符が出ていました。
今でこそわかりますが、そもそもの体の動かし方が出来ていなかったので、どんな型を覚えようが、技をやろうが、出来るはずがありません。
ここで言う体の動かし方とは、自分の動きで動かせているかどうか、と言うことです。
誰であれ、師匠や先輩の動きを見て型を学びます。そしてその動きを真似して覚えます。
なんとなく動きづらかったり、技の連動が納得いかなかったり、一人で動いていてもぎこちない感じのところがあったりします。
練習量が足りない場合ももちろんあります。しかし5年も10年もやっていて技が出来ないなんて、どう考えてもおかしい訳です。逆に難しくて出来ないという脳内回路を強化するだけで、ますます苦手意識が強くなってしまいます。そんな難しい技に自分の命なんて預けられますか？
私の場合ですが、今まで技が出来なかった理由は、自分の動きではなかったから、です。
型の動きはこうだ！と思ってやっていたのですが、それは型の順番に過ぎず、その技を実現する為の「生きた」動きは、自分の動きで実現しなければなりません。
実際、体はかなり動きます。自分が思っていた以上に動かせると言うのが実感です。年のせいで体が動かない、と言う事もあるでしょう。これも実は可動範囲の問題ではありません。動くに越したことはありませんが、自分が動かせる最大の範囲さえ出来ればそれで大丈夫です。
私も、これが判ってようやく技が出来るようになり、型の解釈の仕方がそれまでとは大きく変わりました。
型とは言えども、かなり自由に動けている感じです。自然に動いている感覚で、無理がありません。それは自分の動きになったからです。
型の動きを、自分だったら本来どんな感覚で動かすのか、を意識したほうが技はやりやすくなると思います。
もっと突き詰めると、自分の動きで技を作って、それを自分の型にしてしまえば良いのではないかと。
こうなると、他流派の良い動きがあれば、自分の動きとして取り入れて自分のものにしてしまう事も出来ます。
鋭貫道とはそんな武術です(分かるような…、分からんような…)。
