今回は、私たちの会派名である「雙武會」についてお話ししたいと思います。
以前、入会された稽古生にアンケートをお願いしたところ、雙武會を初めて知ったときの印象について、次のような回答がありました。
「団体名から威厳を感じ、敷居が高いところかもしれないと思っていました」
言われてみると、確かにそうかもしれません。
「雙武會」という文字だけを見ると、何やら古くから続く秘密の武術組織のようにも見えます。旧字体が並んでいることもあり、少し物々しく、怖そうに感じる方がいても不思議ではありません。
しかし、実際の雙武會は、それほど近寄りがたい団体ではありません。
今回は、なぜこのような名前になったのか、その由来をご紹介します。
「雙」と「會」は何を意味するのか
「雙」は、「双」の旧字体です。「二つ」や「一対」といった意味があります。
「會」は、「会」の旧字体です。
つまり、「雙武會」を現在の字体で書けば「双武会」となり、文字どおりには「二つの武術の会」という意味になります。
なぜ、わざわざ旧字体を使っているのか。
一つには、かつて日本で普通に使われていた漢字が、現在ではほとんど見られなくなったことに、少し寂しさを感じたからです。「気」が、もともとは「氣」と書かれていたのと同じです。
もう一つは、武術会派の名称として、旧字体のほうが雰囲気に合っていると思ったからです。
難しい漢字には、不思議な格好よさがあります。
漫画『鬼滅の刃』にも、竈門、鬼舞辻、産屋敷、猗窩座、禰豆子など、初めて見ると読み方さえ分からないような漢字が数多く登場します。私も「これは書けないな」と思いながら見ていましたが、難しい漢字だからこそ、独特の世界観が生まれているように感じます。
雙武會の「雙」と「會」にも、そうした古い文字が持つ雰囲気を残したいという思いがありました。
もっとも、その結果、少し怖そうな名前になってしまったようです。
「二つの武術」とは何か
現在、雙武會の「雙」には、二つの武術を学ぶ会という意味を持たせています。
一つは、白怒火流祖から私が伝授された鋭貫道です。
もう一つは、私がこれまで学び、身につけてきたさまざまな武術です。
雙武會では、鋭貫道を身体操作と体術の中心に置きながら、打撃だけでなく、投げ技、関節技、崩し技、武器術なども総合的に指導しています。
鋭貫道そのものにも、二つの武術という意味を見いだすことができます。
鋭貫道の技術的な基礎には、中国武術の無影拳があります。そして、その哲学には、日本の居合である影流刀道の考え方が流れています。
そこへ流祖独自の経験と哲学が加わり、現代でも使える実戦武術として体系化されたものが鋭貫道です。
中国武術と日本武術。攻撃の技術と、身を護るための考え方。素手の体術と武器術。
「雙」という一文字には、さまざまな二つの要素を結びつける意味があるのです。
……と、ここまで書くと、最初から深い意味を込めて「雙武會」と名づけたように聞こえます。
しかし、本当の始まりは、もっと単純なものでした。
始まりは「相模原武術同好会」
私が最初に立ち上げた会の名称は、「相模原武術同好会」でした。
相模原を中心に集まり、武術の稽古をしていた同好会だったため、そのまま地域名と活動内容を名称にしただけです。
その「相模原武術同好会」を省略し、「相武会」と呼ぶようになったのが始まりでした。
その後、「相武会」を「相武會」と旧字体に変更しました。さらに、会の方向性や指導内容が定まっていく中で、師範代から「同じ読み方で『双武会』としてはどうか」という意見が出ました。
読み方は変わらず、漢字を変えるだけで「二つの武術」という新しい意味を持たせることができます。
私はこの案をとても気に入りました。
そして「双」を旧字体の「雙」に変え、現在の「雙武會」になったというわけです。
最初から壮大な理念があったのではなく、相模原武術同好会から相武会、相武會、そして雙武會へと、活動の変化に合わせて少しずつ現在の名称になりました。
二つの武術という意味が加わったのは、実は比較的最近のことなのです。
名前は少し怖くても、稽古は明るく安全です
「雙武會」という名称だけを見ると、厳格で入りにくい道場を想像する方もいるかもしれません。
しかし、普段の稽古は明るく、和やかな雰囲気で行っています。
大声で怒鳴られたり、できないことを無理にやらされたりするような場所ではありません。初心者の方には、基本的な立ち方や身体の動かし方から、順を追って説明します。
現在は、武術未経験から始めた方や女性、中高年の方も一緒に稽古しています。それぞれの年齢、体力、経験に合わせて進めるため、最初から周囲と同じように動ける必要はありません。
護身術を身につけたい方、運動不足を解消したい方、武術独特の身体操作を学びたい方など、参加する目的もさまざまです。
名前には少し威厳があるかもしれませんが、実際に来てみると、想像していたより親しみやすいと感じていただけると思います。
名前だけで敬遠せず、一度体験してみませんか
「武術には興味があるけれど、怖そうな人ばかりではないか」
「未経験者が行っても大丈夫だろうか」
「年齢や体力についていけるか心配」
ホームページを見ながら、そのように迷っている方もいるかもしれません。
雙武會では、武術経験のない方にも、実際の稽古を無理のない範囲で体験していただいています。体験後には、稽古内容や通い方について個別に質問できる時間も設けています。
ホームページや会派名だけでは、道場の本当の雰囲気までは分かりません。
「雙武會」という少し怖そうな名前に身構えず、まずは一度、体験稽古へお越しください。
実際に身体を動かし、稽古をしている人たちと接したうえで、ご自身に合う場所かどうかを確かめていただければと思います。
神奈川県厚木市、愛川町で、皆さまのご参加をお待ちしております。

