今年の8月、雙武會に女性の稽古生が一気に3人増えました。
正直に言えば、鋭貫道を学びたいという女性が、これほど続けて来られるとは思っていませんでした。
鋭貫道は、護身術として指導しているものの、本来は打撃を主体とした攻撃型の武術です。突きや蹴りを使い、相手の攻撃を受け続けるのではなく、こちらから動いて相手の体勢を崩し、安全な場所へ離脱するための技術を学びます。
そのため私は、女性が武術を始めるのであれば、激しく動く鋭貫道よりも、ゆったりと身体を動かす太極拳などのほうが希望に合うのではないかと考えていました。
しかし、それは私の思い込みだったようです。
今回入会された女性は、家族で通われているお母さんと高校生の娘さん、そして50代の主婦の方です。三人とも武術経験はありませんが、毎回とても熱心に稽古へ取り組んでいます。
家族で始められる運動としての武術
お母さんと高校生の娘さんは、お父さんを含めた家族3人で入会されました。
入会の目的は、家族で一緒にできる運動を始めることでした。
雙武會であれば、家族で身体を動かせるだけでなく、護身術も身につけられる。その点に魅力を感じていただいたようです。
これまで私は、雙武會へ来られる方について、護身術を学びたい、武術の身体操作を研究したい、過去の武術経験を生かしたい、といった個人の目的を中心に考えていました。
「家族で一緒にできる運動を探す」という視点から武術を選び、入会していただけるとは、考えたことがありませんでした。
家族全員で同じ稽古へ参加すると、共通の話題が生まれます。お互いの上達を見ることができ、自宅でも稽古について話したり、一緒に動きを確認したりできます。
武術は一人で自分自身を磨くものという印象がありますが、家族で楽しみながら続けられる運動にもなり得るのだと、私自身が教えられました。
運動が苦手でも、武術は始められる
高校生の娘さんは、ご本人によれば運動があまり得意ではないそうです。
それでも稽古中は、いつも真剣に説明を聞き、一つひとつの動きへ丁寧に取り組んでいます。
最近では、漫画やアニメの『鬼滅の刃』の影響もあり、剣術をやってみたいという希望がありました。現在は、刀の持ち方や構え方など、剣術の基本から少しずつ指導しています。
好きな作品をきっかけに、実際の剣術へ興味を持つことも、武術を始める立派な理由です。
最初から難しい技を行う必要はありません。まず刀を安全に持つこと、周囲へ注意すること、正しい姿勢で立つことから始めます。
運動が得意かどうかよりも、興味を持ち、自分のペースで続けられることのほうが大切です。
50代から初めて経験する突きや蹴り
もう一人は、50代の主婦の方です。
こちらの方も武術は初めてですが、毎回とてもアクティブに動かれています。新しい動きにも積極的に取り組む姿を見て、私も感心しています。
突きや蹴りの稽古をすることは、おそらくこれまでの人生でほとんどなかったと思います。
初めて拳を出す。初めて蹴りを行う。初めて相手との距離を意識して動く。
慣れないうちは、手と足が思うように動かなかったり、力の入れ方が分からなかったりします。それは年齢に関係なく、誰もが通るところです。
大切なのは、最初から上手にできることではありません。怪我をしないように少しずつ身体を慣らし、前回できなかったことが一つでもできるようになる。その積み重ねが稽古です。
50代からであっても、武術を始めるのに遅すぎるということはありません。
女性だから稽古内容を限定する必要はない
私は当初、女性には鋭貫道よりも太極拳のほうが取り組みやすいのではないかと考えていました。
もちろん、ゆったりと身体を整えたい方には太極拳が合うでしょう。しかし、女性だから太極拳、男性だから打撃系武術と、指導する側が最初から決める必要はありません。
鋭貫道の突きや蹴りを学びたい女性もいます。剣術に興味を持つ女性もいます。護身のために関節技や投げ技を学びたい方もいるでしょう。
何を学びたいかは、性別ではなく本人の目的や興味によって決まります。
今回入会された三人の稽古を見て、私自身の中にも、知らず知らずのうちに先入観があったことに気づかされました。
女性が道場選びで確認したいこと
護身術や武術を学びたい女性が道場を探すとき、技の種類だけで判断するのは難しいと思います。
まず確認してほしいのは、初心者に合わせて負荷を調整してくれるかどうかです。いきなり激しい組手へ参加させたり、痛みを我慢させたりするようなところでは、安心して続けられません。
対人稽古での接触の強さや、安全面についてどのように考えているかも重要です。「怪我をしない・させない」という考えが、指導者だけでなく稽古生にも共有されているかを見てください。
分からないことや不安なことを、指導者へ質問できる雰囲気があるかどうかも大切です。見学や体験の際には、稽古内容だけでなく、実際に参加している人たちの表情や接し方も確認するとよいでしょう。
そして、自分が学びたい内容を選べるかどうかです。
護身術を学びたいと思っても、その中で打撃に興味を持つ人もいれば、太極拳、剣術、柔術、武器術などに興味を持つ人もいます。長く続けるためには、自分が楽しいと思えるものに出会うことも重要です。
雙武會では目的に合わせて学べます
雙武會では、鋭貫道を基本体術として指導していますが、それだけを全員へ一律に教えているわけではありません。
私がこれまで学び、身につけてきた剣術、柔術、太極拳、短棒や杖などの武器術も、本人の希望や習熟度に合わせて指導しています。
護身術を身につけたい方、運動不足を解消したい方、家族で身体を動かしたい方、剣術や武器術に興味がある方。それぞれの目的に合わせて、無理のないところから始めていただけます。
突きや蹴りを行う武術だからといって、力の強い人だけのものではありません。女性だから、運動が苦手だから、50代だからと、最初から諦める必要もありません。
現在、雙武會では、武術未経験から始めた女性たちが、それぞれの目的を持って楽しく稽古を続けています。
武術や護身術に興味はあるものの、道場へ一人で行くことに不安を感じている方も、まずは体験へお越しください。稽古内容や道場の雰囲気を実際に確かめ、ご自身に合うかどうかを判断していただければと思います。
ご家族での参加も歓迎しています。

