以前、「操り人形のように。全てはこの感覚から」という記事を書きました。
ここから始まって今まで、姿勢が変わるとリラックスし、精神的にも余裕が出ることを書きました。 「姿勢が変わると、何が変わるか」
正中心・臍下の一点と呼ばれる丹田の中心点について解剖学的に考察してみました。
「(正中心・臍下の一点)の解剖学的な位置は?」
肚と中心軸の関係性についても「肚の感覚(正中心・臍下の一点)が定まったとき、中心軸も自ずと知覚される」と書きました。 「肚と中心軸について」
なぜその感覚が必要なのか、それは自分の内部での偏りを感知するための基準線と基準点を作るためだと書きました。 「そもそも「肚と中心軸」の感覚は、なんのために行うのか?」
まっすぐに立つことで脳の感覚統合が最も正確に機能することが研究で示されており、その特異点がまっすぐな姿勢であると書きました。 「まっすぐに立つということ——重力と身体の深い関係」
また仙骨(腰)を反ることで、腰椎の自然な弯曲が保たれ、まっすぐな立ち方が整うことも書きました。 「仙骨は入れるのか、反るのか——武術における腰椎・骨盤の基本」
これら一連の記事は、全て肚と中心軸について書き、まっすぐに立つことを切り口を変えて詳しく述べたものです。
さて、これらいろいろと書いてきましたが、実技として一番大切なことは、やはり一番最初に書いた「操り人形」のような感覚です。頭のてっぺんに糸をつけて引っ張り上げられ、吊り下がっているような状態をイメージし、その感覚を身体で捉えることです。
吊り下げられているのですから、身体はだらんと垂れ下がっている感じです。肚も、脚も、同様です。仙骨(腰)を反るにしても、骨盤も内臓もだらんと垂れ下がっているから勝手に反る状態になっているのであって、背中の筋肉を使って反らせているわけではありません。
また、引っ張り上げられているのは頭のてっぺんです。あとは全てだらんと垂れ下がる。百会をてっぺんとして吊り上げられれば、自然と身体はまっすぐになります。操り人形だとして、そのまま下ろしていき脚を地面に付けると、大腿骨がまっすぐであれば、脚はまっすぐに伸び、球関節である股関節部分が少し可動し、骨盤が前に倒れます。それが仙骨(腰)の反っている状態です。
こういったイメージで私は動いています。科学的な知見も動作を理解する上では役に立ちますが、やはり実際に動くためにはどのようにすればよいか、どのように動けばできるのかが、一番大事です。
こういった内的感覚を一人稽古の中心に置くと、常日頃から意識できるようになり、日常生活そのものが稽古に変わっていきます。こうした地道な日々の稽古が本当の実力を養い、不意を突かれた場合のとっさの護身動作につながっていくと考えています。自分の身体を自由に使える感覚が、自信を持つことと表裏一体です。相手よりも力が強いこと、早く動けることは、もちろん素晴らしいことですが、柔軟に動けること、落ち着いて周りを見渡せることを目指して取り組むと、比較や競争といった概念に縛られず、一人稽古ができます。
追記: 研究については論文を参照しています。それぞれについてインターネットで検索して調べることができます。ここで紹介した全てのソースを手元に控えてあります。論文を参照しつつ、できる限り分かりやすくまとめたものですが、不備が多々あるかと思います。個人的な興味で調べたものですので、その点はご容赦ください。
