今回は、鋭貫道に伝わる数少ない型の中から、身体操作を取り出して投げ技へ応用した例を紹介します。
鋭貫道には、型と呼べるものが2つだけあります。
今回取り上げるのは、鳥が羽ばたくような動作と、龍がうねるような動きを組み合わせた型です。その身体操作を、相手を投げる技として解釈し、実際に試しています。
この技は以前にも動画で紹介しましたが、今回は動作の仕組みや、どのように相手へ掛けているのかについて、もう少し詳しく解説しました。
前回の稽古で稽古生からリクエストがあり、改めて撮影したものです。
型の動きを投げ技へつなげる
実際にどのような動作を行い、どのように相手へ技を掛けているのかは、動画の中で解説しています。
鳥が羽ばたくように腕を動かしながら、龍が身体をうねらせるように全身を使います。
身体全体の動きと腕の動作を別々にせず、一つにつなげることが重要です。
比較的仕組みが分かりやすく、鋭貫道の身体操作を体験するための初心者向けの技だと思います。
ただし、投げ技には怪我の危険があります。実際に試す場合は、畳や十分な厚さのあるマットの上で行い、相手と動作を確認しながら、ゆっくり稽古してください。
見よう見まねで強く投げることは避け、受け身のできる相手と、安全に十分配慮したうえで行う必要があります。
鋭貫道には型がないのか
私は普段、鋭貫道には型がないと説明しています。
正確に言えば、鋭貫道の基礎となった無影拳には、いくつかの型があります。その中から、鋭貫道では2つだけを採用しています。
これは鋭貫道流祖である私の師匠の考えによるものです。
私が教わった時には、この2つの型だけが伝えられました。そして師匠からは、この2つ以外の型は必要ないと教わりました。
そのため、鋭貫道には型がまったく存在しないわけではありません。
しかし、数多くの型を順番に覚え、その形を正確に再現することを稽古の中心にはしていません。
型に含まれる身体操作を身につけ、それを実際の技へと変化させることを重視しています。
型や定位置に囚われない
鋭貫道の大きな特徴の一つは、決まった「型」や「定位置」に、あまり囚われないことです。
多くの武術では、まず構えや立ち方を学び、その姿勢からどのように動くかを稽古していくと思います。
鋭貫道にも基本となる考え方や身体操作はありますが、全員がまったく同じ構えを取り、同じ形で動かなければならないとは考えていません。
人によって体格も違えば、手足の長さ、筋力、柔軟性、これまでの運動経験も異なります。
同じ形をそのまま当てはめても、その人にとって使いやすい動きになるとは限りません。
型を通して学びたい人には、型を中心に身体操作を教え、そこから実戦的な動きへつなげていくことができます。
一方で、型の順番を覚えるよりも、まず実用的な技術を学びたい人には、鋭貫道に特徴的な身体操作をいくつか取り出して稽古してもらいます。
そのうえで、本人が動きやすい方法と鋭貫道の身体操作を擦り合わせていきます。
大切なのは、決められた順番を覚えることではありません。
それぞれの身体に合った動きを見つけ、実際に使える形へ自分で磨いていくことです。
これまで学んだ武術を捨てる必要はない
すでに空手など、ほかの武術を経験している人であれば、それまで身につけてきたものを捨てる必要はありません。
空手を学んできたのであれば、その空手を土台にして、鋭貫道の身体操作や考え方を加えていくこともできます。
突きの形をすべて変える必要はありません。
立ち方や間合いを最初から作り直す必要もありません。
これまで身につけてきた技術の中に、鋭貫道の身体操作を取り入れればよいのです。
力の伝え方を変える。
身体の向きを変える方法を加える。
相手と正面からぶつからない動きを取り入れる。
技を決められた形として使うのではなく、状況に応じて変化させる。
そのようにして、すでに持っている技術を生かしながら、自分自身の武術を深めていくことができます。
鋭貫道は、ほかの武術を否定して置き換えるものではありません。
その人が持っている技術を生かし、より自然に、より実用的に使えるようにするための考え方でもあります。
継承とは、同じ形を再現することではない
私は鋭貫道を継承しています。
しかし、私の動きや技は、師匠とまったく同じではないと思っています。
体格も違えば、これまで学んできた武術も違います。得意な間合いや、自然に選ぶ技も異なります。
同じ教えを受け継いでいても、それを自分の身体で表現すれば、師匠とは違う趣や技になるのは当然のことだと思います。
大切なのは、師匠の外見的な動きを、そのまま真似し続けることではありません。
師匠が何を伝えようとしていたのか。
その動きの中に、どのような身体操作や考え方があるのか。
それを理解し、自分自身の身体で使える形にしていくことが重要です。
真似から始めることは必要です。
何もないところから、いきなり自分独自の武術を作ることは困難です。最初は見本となる動きや、技を構成するための材料が必要になります。
しかし、最後まで真似だけで終わってしまえば、その技は自分のものにはなりません。
学んださまざまな要素を、自分の身体に合わせて組み直し、自分なりの形へ育てていく。
それが武術を継承することだと、私は考えています。
自分自身の形を見つける
自分の武術を作るためには、できるだけ多くの材料があった方がよいと思います。
打撃、崩し、投げ、関節技、体捌き、歩法、剣術、武器術。
さまざまな身体操作や技を知っていれば、その中から自分に合うものを選び、組み合わせることができます。
幸い、私はこれまで複数の武術を学んできました。
そのため、稽古生には、鋭貫道だけに限らず、私が身につけてきたさまざまな技術を参考として示すことができます。
すべてを身につける必要はありません。
その中から、自分の身体や目的に合うものを見つけてもらえればよいと思っています。
今回紹介した投げ技も、型をそのまま演じているわけではありません。
型の中にある鳥の羽ばたきや龍のうねりを思わせる身体操作を取り出し、相手との関係の中で投げ技へ変化させたものです。
型は、完成された技の見本であるだけではありません。
そこに含まれる身体操作を理解し、さまざまな技へ応用するための材料でもあります。
型を覚えることが目的なのではなく、型を通して身体の使い方を知る。
そして、その身体操作を自分の技へ変えていく。
それが、鋭貫道における型の役割だと考えています。
雙武會は、厚木市・愛川町を中心に活動しています。
鋭貫道クラスでは、打撃、崩し、投げ、関節技、体捌きなどを通して、腕力だけに頼らない護身武術の身体操作を稽古しています。
決められた形を一方的に押しつけるのではなく、年齢、体力、経験、目的に合わせ、それぞれの身体に合う動きを一緒に探していきます。
武術未経験の方も、ほかの武術を経験している方も歓迎しています。鋭貫道や身体の使い方に興味のある方は、ぜひ一度、無料体験へお越しください。


