運動が苦手でも武術は始められるか?

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武術には興味があるけれど、運動はあまり得意ではない。先生の動きを見ても、自分が同じように動けるとは思えない。

そのような理由から、武術を始めることをためらっている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、運動神経がよければ、新しい動きを早く覚えたり、さまざまな技を器用に使い分けたりできるでしょう。速く動けることや、身体を思いどおりに扱えることも、武術を学ぶうえで強みになります。

しかし、武術の上達が、運動神経の良さだけで決まるわけではありません。

特に実戦や護身を考えたとき、技をたくさん知っていることや、見栄えよく速く動けることだけが重要なのではありません。自分の身体で無理なく使える動きを知り、一つのことを繰り返し磨いていくことも大切です。

たとえ一つの技であっても、それが自分の身体から自然に出る動きであれば、長い時間をかけて深めていくことができます。

自分の身体を知り、自分に合った動きを見つけ、それを自分だけの技へ育てていく。それが鋭貫道の目的の一つです。

そのために、私や師範代がいます。

まず説明を聞き、自分でも動いてみる。うまくいかなければ、どこで動きが止まっているのかを一緒に確かめる。動きを小さく分け、できるところから繰り返す。

今回は、運動に苦手意識のある方へ、鋭貫道では難しい動きをどのように学んでいくのか、その入り口をご紹介します。

「運動が苦手」と感じる理由は人それぞれ

一口に運動が苦手といっても、その理由は人によって異なります。

球技が苦手な方もいれば、人の動きをまねることが難しい方もいます。左右を同時に動かすと混乱する、動きを覚えるまで時間がかかる、人と比べて落ち込んでしまうという方もいるでしょう。

かくいう私も、球技は大の苦手です。

子どもの頃に無理やりやらされたことをきっかけに、野球が嫌いになりました。サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどにも興味を持てず、今でも上手にできません。

それでも、武術は好きでした。

好きな武術をひたすら続けてきた結果、現在の私があります。

一つの運動が苦手だからといって、すべての身体運動が苦手とは限りません。学校の体育や球技が得意ではなかった方でも、武術の動きには面白さを感じられることがあります。

大切なのは、自分に合った身体の動かし方と、続けてみたいと思えるものに出会えるかどうかです。

最初は「立つ」「構える」「足を動かす」から

初めて武術を学ぶ方に、複雑な技を最初から完成させるよう求めることはありません。

鋭貫道では、まず立つことから始めます。

足をどのくらい開くのか。どちらの足へ体重が乗っているのか。膝や股関節に余計な力が入っていないか。上半身が前後左右へ傾いていないか。

普段は意識することのない自分の立ち方を、少しずつ確認します。

次に、構え方と足の動かし方を学びます。難しい動きは、一つのまとまりとして覚えようとすると混乱します。

そこで、次のように分けて稽古します。

  • まず姿勢だけを作る
  • 次に足だけを動かす
  • 重心がどこへ移るかを確かめる
  • 手の動きを加える
  • ゆっくり全身をつなげる
  • 最後にミットなどを使って試す

細かく書くと、こういったことになります。ですが、一度にすべてを直そうとする必要はありません。まずは考えすぎずに動いてみる。ミットを打ってみる。一度、思い切って身体を動かしてみる。

そのうえで、「今の動きは楽だった」「ここで身体が詰まった」「力を入れたのに、うまく伝わらなかった」といった感覚を確かめます。これも感じるままで、大体で構いません。この繰り返しによって、自分の身体の使い方が少しずつ見えてきます。

先生の動きを、そのまま再現する必要はない

先生の動きを見て、「自分には同じようにできない」と感じることがあるかもしれません。

しかし、身長、体重、筋力、手足の長さ、関節の動く範囲は、人によって異なります。長年稽古してきた指導者と、初めて体験する方の動きが同じになるはずもありません。

たとえ先生と言えども、動きをまねる必要は全くないのです。

まず、動きの目的を理解します。

何のためにこの方向へ足を出すのか。なぜここで身体をひねらないのか。どこから力が伝わっているのか。相手との距離をどう変えたいのか。

そうした原理を理解したうえで、自分の身体に合う動きを探します。

鋭貫道には、身体を一つの決められた型へ押し込めるような稽古はありません。基本となる身体操作は学びますが、その使い方は一人ひとり異なります。

指導者の動きをコピーすることが目的ではなく、指導を手がかりとして、自分の中にある動きを見つけていくことが目的です。

分からない動きも、続けるうちに変わっていく

私は、鋭貫道の基本となる馬歩を理解するまでに、3年ほどかかりました。

師匠から何度も教わり、一人でも繰り返し稽古しました。それでも、なぜそのように立つのか、どこを使えばよいのか、分からない時期が長く続きました。

分からないなりに稽古を続けていると、あるとき突然、身体の中でつながる瞬間があります。

誰かに新しい説明をされたわけでもないのに、「こういうことだったのか」と分かる。昨日まで難しかった動きが、ある日、以前よりも自然にできるようになる。

これは、実際に続けた人でなければ分かりにくい経験かもしれません。

頭で聞いた説明と、身体で積み重ねてきた感覚が、あるとき一つにつながるのです。

昨日できなかったからといって、今日もできないとは限りません。理解するまでに時間がかかっても、その時間は無駄ではありません。

一つずつ、少しずつでよいのです。

時間をかけて理解できたことは、簡単に忘れません。「自分にもできた」という経験は、武術だけでなく、人生における一つの自信にもなると思います。

鋭貫道は、自分の身体を観る武術

鋭貫道には、基本的に決められた型がありません。

だからといって、何をしてもよいわけではありません。立ち方、重心移動、身体のつながり、力の伝え方といった基本を学びながら、自分に合う動きを作っていきます。

自分の中には、まだ自分でも気づいていない動きが眠っています。

これは私自身も同じでした。「自分に、このような動きができたのか」と驚いた経験が何度もあります。そして今でも、新たに気づくことがあります。

私は総師範という立場ではありますが、すべてを理解し終えたわけではありません。今も自分の身体を観察し、試し、修正しながら稽古を続けています。

鋭貫道で大切なのは、自分自身を深く観ることです。

うまくできないときに、自分を責める必要はありません。力が入りすぎているのか、足の位置が合っていないのか、呼吸が止まっているのか。原因を一つずつ探していきます。

そうして見つけた動きは、誰かのまねではありません。

自分の身体から生まれた、唯一無二の自分の技になります。

技は、たくさんなくてもよいのです。たった一つでも、自分が本当に使える技を持つことには大きな意味があります。

今の自分に合うところから体験してみませんか

「自分にもできるだろうか」という疑問は、考えているだけでは答えが出ないこともあります。

興味がありましたら、まずは基本的な動きに触れてみてください。

体験の際には、これまでの運動経験や、苦手に感じていることをお聞かせください。体力や経験に合わせ、無理のない内容からご案内します。

他の参加者と比べる必要はありません。動きをすぐに覚えられなくても、身体が硬くても、運動に自信がなくても大丈夫です。

まず立ってみる。足を動かしてみる。ミットへ手を出してみる。

その小さな一歩から、武術の稽古は始まります。

楽しみながら続けることが、何よりも大切です。時間がかかったとしても、自分の身体で理解できたとき、それまでの経験はかけがえのないものになっているでしょう。

体験稽古の日時、会場、申込方法については、「無料体験・入会のご案内」をご覧ください。